古民家改修の再考
懐かしい雰囲気の古民家はテレビ番組でも取り扱われるようになり話題を集めています。
近年は、海外の方から人気の民泊施設としても古民家が注目されるようになってきました。
国内外から人気の古民家ですが、
断熱性や耐震性などの面では現在の基準を満たしていないこともあり、
現代人が過ごすためには一部の不安があります。
しかし、昔ながらの古民家は樹齢の長い木材が使われているため、
数百年の耐久性があるとも言われています。
古民家の特徴を活かしながら現代でも利用するためには、
どのような取り組みをおこなえば良いのでしょうか。
「ぽつんと一軒家」が流行る理由
2019年9月30日テレビ番組の「ぽつんと一軒家」が20.8%(ビデオリサーチ調べ)と高視聴率を記録したそうです。
周囲に家がない一軒家を訪問してそこに住む人を紹介するという番組が
どうしてこれほど支持を集めているのでしょうか。
現代人の生活では周囲に誰もいないような里山に住むという経験はほとんどありません。
もちろん珍しいものに興味があるだけかもしれませんが、
それ以外にも里山や民家を見ると、なんとなく古き良き日本を感じる方が多いのではないでしょうか。
祖父母や両親が昔遊びに行っていた親戚の家を思い出す方や、
バブル時代前の里山が残っていた風景を見て郷愁にかられることもあるはずです。
これは中高年に限ったことではなく、実際にその風景を経験したことのないような若年者にも通じる気持ちです。
里山や民家からノスタルジーを感じる気持ちは、私たち日本人の共通の想いであるのかもしれません。
古民家が使われなくなって
古民家には、「伝統的な手法で建築された木造の建物」、「瓦や板などが屋根材に使われている」、
「全体の1/3~1/2程度の土間が内部にある」、「時代に合わせて畳敷きの部屋が増えている」などの特徴があります。
古くは室町時代から建造された物もありますが、一般的には戦前に建てられた民家(町家も含む)を呼ぶことがほとんどです。
戦後には現在のような近代的な生活環境になり、昔ながらの古民家を使い続けることが困難になりましたが、
周辺地域で手に入れやすい材料を利用して建てられた物件もあり、
文化的な資源としても古民家の保存は重要です。
古民家が一般的に使われないようになって久しくありますが、
今一度その価値を見つめなおす時期に来ているのかもしれません。
古民家の改修をワークショップでできないか
国内外から注目を集めている古民家ですが、近年では建物の老朽化によってあまり使われなくなりました。
人が住まなくなった家は壊れやすいと言われていますが、古民家でもそれは同様です。
空気の入れ替えがされないために埃や塵が積もりやすくなり、カビも生えやすくなります。
長期間人がいない場所では、さらに害虫や害獣などの被害も発生しやすくなります。
手入れをすれば何年も使えるはずの建物が、老朽化によってどんどん寿命が短くなってしまうのです。
古民家を古民家らしく使うためには、人が集まる場所として活用することが向いているのではないでしょうか。
地域に根付いている古民家は、外部から業者が入って大掛かりな改修をするよりも、
昔から住んでいる地域住民の手で改修をおこなっていく方が良いかもしれません。
例えば、地域活性化の一歩として地元住民で古民家を改修するワークショップを開催するのはいかがでしょうか。
最近では、建築に興味を持っている若年者もおり、DIYの一種としてリフォームを自分自身の手でしたいと考える人もいます。
小さな子供も一緒に参加すれば、家族の思い出のひと時にもなることでしょう。
自分の手で改修した古民家には特別な感情を持ちやすくなります。
改修がきっかけで地元住民からいつまでも愛される古民家へ生まれ変わるかもしれません。
昔の地域で組織された「結い」のように
小さな集落や自治体では、「結い」という共同作業の制度が取り入れられていました。
昔の地域では住民総出で助け合う相互扶助の精神で田植えや稲刈りなどをしていました。
そして建物の屋根の茅葺きの葺き替え等も組織で行なっていました。
近年では地方の過疎化や高齢化などが原因で「結い」等の組織の維持が困難になってきていますが、
一人ではできないこともみんなで力を合わせることで達成できる地域づくりは非常に魅力的です。
自らが汗を流すことで、その地域に愛着や関心を持つことにもなります。
古民家の改修には膨大な費用がかかると思われがちですが、
一般の方や学生の人達、ボランティアの人達で新たな組織を作ることができれば
現在失われつつある建物が救われたりと、思わぬ成果が得られるかもしれません。
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最終更新日:2020年3月3日投稿日:2019年12月2日