京都市北区T邸京町家のリノベーション、建物の解体も完了し、現場では木工事、屋根工事が進んでいます。
屋根の現状は、垂木の上に、小幅板、トントンと呼ばれる薄い杉板、土、瓦屋根という構成でした。
瓦が劣化し、一部雨漏れも見られました。
屋根部分は、母屋、垂木、小屋束を除き、全て解体しました。
解体後、しばらくは、ブルーシートで覆われた状態になります。
改修では小幅板の代わりに、厚み12mmの合板を野地板にしています。
小幅板に比べ、合板を使うことで、屋根面の剛性が強くなります。
軒天は厚み12mmの杉材、破風は厚み30mmの桧材で、
最後に既存の垂木、母屋と一緒に木材保護塗料キシラデコールで仕上げる予定です。
保護塗料は濃い茶系色で、既存部分と色を合わせます。
屋根が垂れて見えない工夫として、破風はなだらかにむくらせる反り加工がされています。
また、軒裏に水を回さず、下に水が切れていくように、水返し(眉欠き)の加工も施されています。
こういった細かな部分にも大工さんの手仕事が感じられます。
屋根防水のため野地板の上に、アスファルトルーフィング(防水紙)を張ります。
雨水の多くは瓦の上を流れますが、瓦と瓦接合部などから侵入した雨水には防水部分が対応します。
屋根面に取り付けた横桟に、桟瓦を葺く準備をしていきます。
使用する瓦は京町家でよく見られるいぶし瓦です。
こうしてみると、すごい枚数の瓦です。
軒先は一文字瓦で仕上げます。
一文字瓦は瓦の下端が真っすぐ一文字になっている瓦のことです。
瓦屋根は重厚な印象がありますが、軒先を一文字にすることで、建物全体をスッキリと締まった印象に見せる効果があります。
T邸京町家リノベーションのブログ記事はこちらをご覧ください。
京都市北区T邸「京町家リノベーション」解体工事が始まりました
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住まいの屋根と瓦
一文字瓦と鍾馗さん
最終更新日:2022年4月15日投稿日:2022年4月15日