住まいの記憶を残す

古い建物には家族の生活の歴史がきざまれている

古い建物はただ単に古いだけでなく、そこに住んでいた家族の生活の歴史が刻まれているものです。
おじいちゃんおばあちゃんが若かった頃、お父さんお母さんがまだ新婚だった頃、
そして子供の成長過程での歴史など、家族の思い出とともに生活の歴史がきざまれています。
古い建物の中には、先祖代々受け継いできた長い歴史がある家もあるでしょう。

家が古くなったから建て替えたいけれど、家族の記録と記憶が多く詰まっている今の住まいを壊してしまうのはなんだか忍びない、
とそんな風に思っている方は少なくありません。
なかなか建て替えに踏み出せないという方が選ばれるのがリフォームです。
家を壊さずに、家族みんなが住みやすいように上手くリフォームする方は多いと思います。
しかし、古い家のリフォームは意外と費用がかかってしまう場合があります。
新築に建て替えてしまった方がコストが安く収まる場合もあります。
新しい建物を建てる時に、廻りの環境やその土地で全くの家族の記憶や歴史が無くなってしまうことが懸念されます。
しかし「住まいの歴史を残す」のは建て替えでも可能です。
「家族の生活の歴史を新たらしい家に残す」ことは、それは家族にとって思い入れのある家になることでしょう。

新しい建物に古い建物の記憶を残せないか

新築する家に古い建物の記憶や思い出を残すことはできないのだろうか、と考える方は多いのではないでしょうか。
家族の歴史が詰まった思い出の記憶は、古い家の隅々に残されています。
もちろん、全てを残すことは難しいのですが、一部だけでも古い家の記憶を残すことは可能です。

例えば「柱」はどうでしょう。
昔は子供の成長を柱に刻むのが一般的でした。
1年ごとに子供の身長を刻むことで、成長の記録を永遠に残すことができたものです。
もし古い家にそのようなものがあれば、残したいと思うのは当然のことです。
古い建物にはその場所に流れる時間が刻み込まれるので、仮に柱一つであっても十分な思い出になるものです。
また、古い建物の一部を新しい建物に残すことで、デザイン性も向上する可能性があります。
特に「和」を意識した和モダンな住宅を希望するのであれば、古い建物の一部を使用することで、家族にとってより素敵な住まいになるに違いありません。

意匠や素材、間取りであったり

古い整った町並に異質な意匠の建物が建てられていて、見ていて居心地の悪さを感じる事があります。
その場合も古いもの似合わせた伝統的な意匠や素材、色等が使われていれば落着きを感じます。

古い建物には良材が使用されている事が多いものです。
木造住宅の場合、柱の桧や床の地板など上質な木材が使用されていることが数多くあります。
何代にも渡って暮らしてきたお家を、ただ壊すのではなく、新築の住宅の一部に使う事で家族の大切な思い出を残すことができるのです。

【素材】

建具
建具には扉、引き戸などがあるかと思います。
使い込まれた扉は、新しい家に再利用することで、アンティーク調に仕上がります。
その際に扉に調和した床材を選ぶことで、新しいのに懐かしく、そして安心を感じられる家が完成するでしょう。
新しい家のアクセントとして古材の梁を採用する方は結構多いものです。
古い家に使われていた梁を使用することにより、家族が集まる空間が引き締まったものになるでしょう。

また、意匠や素材だけでなく平面として間取りを同じように作り上げるのもまた良いと思います。
慣れ親しんだ古い家と同じ間取りであったり、使い勝手も同じでれば、どこか安心感を得られるのではないでしょうか。

古い建物の一部を新しい建物に使う(住まいの記憶を残す方法)

古い建物の一部を新しい建物に使うことで、住まいの記憶を残すことができます。
ここでは、そんな住まいの記憶を残す方法を幾つか紹介したいと思います。

  • 扉を再利用
    存在感のある扉は、新築の家に再利用するのがおすすめです。
    使い込まれた扉を、新しい家に再利用することで、アンティーク調に仕上がります。
    古い建具はどちらかと言うとベニガラの濃色が多いと思います。
    その色にマッチしたフローリングを選択することで、安心を感じられる家が完成するでしょう。
  • 歴史ある梁を再利用
    家族が集うダイニングリビング。
    そこの天井にあえてむき出しの太鼓梁が鎮座するのは意外にも斬新で新鮮な空間ができあがります。
    勾配天井の空間に古い建物で使用していた太鼓梁が存在感と落着きをかもし出します。
    古い家に使われていた太鼓梁を使用することにより、家族が集まる空間を優しく包んでくれるでしょう。
  • 地板を再利用
    床の地板等は良材が使われている事が多いので、新しく用途で同じく洗面台の天板であるとか、玄関の地板に使うとか
    ニッチの棚板等と使う場所は、数多く考えられます。
  • 建具のガラスを再利用
    古い建物で使われていた建具のガラス。
    レトロな木組みのデザインならなお良いでしょう。
    それを新しい建物の室内の小窓等に使用することで、新しく、そして懐かしく感じる不思議な空間が完成します。
  • 屋根瓦を再利用
    屋根の瓦として使われていた瓦を外構の土間に木端建てで埋込み、見切り材として等使うのも一案です。
    新しさと古さが混在したものがあるのが、落着きとなじみをかもし出し建物の価値をあげます。

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最終更新日:2020年3月4日投稿日:2018年11月19日