外壁には紫外線や雨風、暑さ、寒さなどの外部環境から住まいと暮らしを守るはたらきがあります。
耐久性、遮音性、断熱性などの機能性を兼ね備えているほか、外壁は建築物の外観を決める大切な要素にもなります。
昔は外装材に自然素材が使われてきましたが、今では様々な素材が用いられています。
外装材を決めるときは用途だけでなく、外観のデザインや景観との調和も考慮して取り入れることが大切です。
外装材の施工方法は主に乾式と湿式があり、その他にも様々な方法があります。
この記事では工法と外装材の種類の特徴をご紹介します。
外装材のいろいろ・乾式(鉄板型、窯業系)
乾式は水を使わずにサイディングを用いる工法です。
サイディングは工場で生産されだボードやパネルを組み立てることで外壁を作ります。
合板に防水シートを貼り、胴線を打ち付け、金物でサイディングをかけたり、釘で打ち付けたりします。
工材が工場で生産されるため品質が一定でなので、工期が短いところがメリットとして、多くの住宅に取り入れられています。
乾式にはアルミやステンレスなどの金属を使った鉄板型とセメントを用いた窯業系などがあります。
鉄板型のサイディングは金属板と断熱材や遮音材を組み合わせたものです。
他の外装材よりも軽量で建物に負担がかかりにくくなっています。
シャープでモダンなデザインのものが増え、曲げ折り加工を施すこともできます。
窯業系はセメントを主原料として高圧形成したものです。
色合いやデザインは様々で、レンガやタイルのような外観のものや割石風があります。
窯業系は重量感があり、防火性と耐久性に優れています。
弱点は水で裏から雨水などが入るとサイディングに亀裂が入る畏れがあるため、防水対策が必要です。
窯業系に類似したサイディングにセラミック系サイディングもあります。
自然の土を約1300℃で焼成して作る陶磁器タイルを使います。
セラミック系サイディングは性能が高く、色あせが少ない外装材です。
外装材のいろいろ・湿式(シックイ等)
湿式は水を混ぜた材料を塗りつける工法です。
日本建築の伝統的な壁仕上げは湿式で、表現力が高く高級感のある外観になります。
色を選べて造形の自由度があり、融通が利きやすいところが利点です。
模様をつけたり、吹き付け仕上げをすることで、意匠を凝らすことができます。
モルタルを下地にして、左官材を塗ったり、タイルやレンガなどを貼り付けます。
伝統的な漆喰は消石灰が主原料で、砂や藁をつなぎとし、のりと水を混ぜて練ることで作られます。
表面が滑らかでヒビ、亀裂が入りにくい仕上がりになります。
水や湿気に弱いところが難点で、雨がかかりにくいところや軒下の外装材に適しています。
また、乾式と比べるとどうしても工期が長くなり、費用もやや高めです。
外装材のいろいろ・板張り
京都では昔ながらの檜や杉などの無垢材を使用した外壁が増えています。
防火上の制限があるため、全て板張りにすることは難しく、上壁を漆喰壁などにして腰壁を板張りにされたりしています。
木材は暖かみのある表情を楽しむことができ、時間の経過とともに風合いが増します。
外装材の劣化が起こったとき、取り換えしやすいところも利点です。
他の外装材で張替えを行う場合、素材が廃盤になっていることがあります。
同じ素材がないと類似品を探すことになり、継ぎはぎになってしまうと外観が良くありません。
板張りは天然素材で廃盤になる畏れがないため、修復しやすい点がメリットです。
また、外装材によっては修繕の際に全て取りはずしが必要なこともあります。
外壁の張替えを全体的におこなうと、数百万円を要することもあり非常に高額です。
板張りは部分交換できる外装材なので、メンテナンスコストが安く済みます。
外装材のいろいろ・焼杉板(近年見直されてきている)
板張りの素材の中でも近年焼杉板の人気が高まっています。
焼杉板は滋賀県以西の地域で普及した伝統的な技法で、西日本や瀬戸内沿岸地域で多く見られます。
焼杉板は杉板の表面をバーナーで焼いて作成し、黒っぽい色をしています。
表面が炭化しているため、耐久性と耐候性に優れています。
炭化部が層になることで断熱効果と防虫効果もあります。
深みのある黒色がモダンな和風建築に馴染みやすく、焼杉板は外装材として用いられることが増えています。
最終更新日:2020年3月4日投稿日:2018年10月1日