住宅の痛み易いところ
京町家は現在、住まいとして利用している方もいれば店舗として利用している方もいらっしゃいます。
京町家は定期的に適切な手入れをしていればいつまででも綺麗な状態を保つことができます。
ただ、どうしても木で作られているため痛み易い部分があります。
まずは「柱の足元」です。
土中の湿気や雨により長い年月の間に腐朽することが多くあります。
次ぎに「屋根の軒」です。
経年劣化や雨漏りが原因等で腐朽して軒が下がってくる場合もあります。
そして「外壁」です。
外壁は常に雨風にさらされているため、痛み易い部分の代表です。
ただ、京町家は痛み易い部分を手入れしやすいように工夫がなされています。
京町家の構造の特徴
京町家は日本を代表する歴史的建物として知られています。
昭和25年以前に建てられた町家が京町家と呼ばれています。
京町家の多くは築100年~120年のものとなっています。
そんな京町家の特徴を挙げていきましょう。
- 構造の特徴
京町家は石場建ての伝統的構法で作られています。
梁等の木造の構造が内部にあらわしで使われ見えるようになっています。 - 外観の特徴
京町家は基本的に二階建てです。
しかし、中には平屋のものも存在します。
基本的に瓦屋根、大戸、格子、虫籠窓、土壁、木枠ガラス戸となっています。 - 内部平面の特徴
建物は間口が狭く奥行きが長い平面プランで、奥に坪庭と呼ばれる小さな庭があります。
京町家の耐震工事は
京町家は昭和25年以前に建築されています。
京町家の作りは伝統構法の建築で、やわらかさと粘り強さを持っており、柔構造で揺れに耐える構造となっています。
が、現在の耐震診断方法の測定では、比較的低い耐震の数値がでてきます。
それは、貫や竹小舞土壁の壁の数値がカウントされずにいるためです。
又重量のある瓦が屋根に使用されているために地震に対しては不利に働きます。
(最近では瓦の葺き方も土を載せない葺き方に変わり、屋根としての重量は随分軽くなっています)
京都では京都の歴史・文化の象徴である京町家の保全・再生を促進するため「耐震改修の促進」による保全・再生の支援をおこなっています。
耐震診断士による「耐震診断」を受けて当該町家の耐震がどの程度の耐震性能を持っているのかを把握して対応する事を進めています。
一般的には、京町家の耐震性能を担保するために大は切なのは柱の根元がしっかりしている事(腐っている場合は柱の根継ぎをする)です。
また、壁量を十分にとる(土壁を増やす)ことで強度を高めていきます。
他にも腐朽が見られる部分を適切に修復することが最も大切です。
補助金について
京都市では地震災害に強い都市づくりを目指しています。
京都の宝である京町家を保全・再生し安心して住むことができるように、耐震診断で安全でないと診断された場合、耐震階週に要する費用の一部を助成しています。
耐震診断においても、自己負担5,000円でおこなってくれる制度を設けています。
京町家耐震診断士2名を派遣して診断をし報告書まで作成してくれます。
京都市では耐震改修工事費用の50%を補助してくれます。
ただ、京都市が定める工事を補助対象としているため、建築士や工務店など専門家に相談することをおすすめします。
そして町家のリノベーション(水回りのやり替え等)を検討されている場合には、工事を施工される機会に一緒に耐震工事をされるのも一案です。
最終更新日:2020年10月13日投稿日:2017年10月4日