今回は、住まいにおいても大切な考え方である「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」について紹介します。
子どもからお年寄りまで幅広い人にとって暮らしやすいと感じる環境が大切です。
バリアフリーとは
バリアフリーとは、障壁(バリア)を取り除く(フリー)という意味の造語です。
もともとは建築用語として使われていたこの言葉は、本来は道路や段差などなんらかの物理的な障壁を取り除くという意味で使われていました。
しかし現在では、高齢者や障害者など特定の人が感じる障壁を取り除くという意味で広く使われる言葉となっています。
さらに近年では、以下のような幅広い意味合いのことを「バリア」と言い、これらが取り除かれることを「バリアフリー」と呼ぶことがあります。
・物理的なバリア
建築物や公共交通機関などにおいて、物理的なものによって移動困難なことを言います。
狭い通路や急な勾配、滑りやすい床などが代表的です。
・制度的なバリア
障害などを理由に、特定の機会が奪われる環境にあることを意味しています。
たとえば、盲導犬を連れての入店が断られる、障害を理由に受験ができないなどが挙げられます。
・文化や情報のバリア
必要な情報が得られない環境にあることを言います。
音声のみのアナウンス、視覚が必須となるタッチパネルなどわかりにくい案内や難しい言葉なども含まれます。
・意識のバリア
周囲の人から偏見や差別、無関心などの意識をもたれてしまうことがあります。
たとえば点字ブロックの存在に気がつかずにその場所を占領する行為も該当します。
令和2年に改正された「バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」では、「心のバリアフリー」という考え方が大切だと指摘されています。
一人ひとりが相互に理解を深めようとコミュニケーションを取り支え合うという「心のバリアフリー」は、さまざまな人にとって暮らしやすい社会の実現のために大切な考え方といえるのです。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインは「すべての・普遍的な(ユニバーサル)」、「計画・設計(デザイン)」を組み合わせた言葉です。
年齢、障害、文化、言語、国籍、性別、能力の有無などにかかわらず、すべての人にとって利用しやすいデザインにすることをいいます。
ユニバーサルデザインとしては、以下の7つの原則を守ることが大切だと言われています。
1.誰でも公平に利用できる(公平性)
2.柔軟に使える(自由度)
3.使い方が簡単・すぐに利用ができる(単純性)
4.簡単に理解できる(わかりやすい)
5.単純なミスをしても危険ではない(安全性)
6.弱い力でも使いやすい(省体力)
7.接近しても使える寸法や空間になっている(スペースの確保)
ただし必ずすべての原則を守らなくても、利用者にとって使いやすいものであればそれはユニバーサルデザインだと言えるでしょう。
ユニバーサルデザインで設計された商品について
日常生活においても、ユニバーサルデザインで設計された商品をさまざまな場所で発見できます。
たとえば、シャンプーの容器についたギザギザは、ギザギザのついていないコンディショナーの容器と区別できます。
目を閉じていても使えるように設計されたこの商品は、誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインだと言えます。
このようにすべての人にとって利用しやすいデザインを目指した設計は、利用者にとって使いやすい商品になると言えるのです。
住まいにおけるバリアフリーとユニバーサルデザイン
住まいにおいては、バリアフリーとユニバーサルデザインのどちらも大切な考え方です。
長年暮らす住宅は、年月が過ぎて家族に身体的・年齢的な変化などが起こったときでも、暮らしやすいと感じる設計でなければいけません。
たとえば洗面台にあるレバー式の水栓は、子どもからお年寄りまで軽い力で動かせるためバリアフリーとユニバーサルデザインのどちらも兼ね備えていると言えます。
また、廊下や水回りに余裕のあるスペースを作ることで妊婦・授乳婦や車椅子の方でも過ごしやすい空間になります。
住まいにおけるバリアフリーとユニバーサルデザインの考え方で、家族みんなが積極的に活動できる空間を手にできるのです。
まとめ
特定の方を対象にしたバリアフリーと、すべての方を対象にしたユニバーサルデザインはそれぞれで考え方がやや異なります。
住まいにおいては、そのどちらにも配慮した考え方で設計をおこなうことが大切です。
これらの考え方を積極的に取り入れた住まいは、住む人に優しく生活の質を高める住まいとなることでしょう。
最終更新日:2021年10月12日投稿日:2021年10月12日