私たちが、子どもたちに教え伝えるべきこととはなんでしょうか。
日常におけるルールや、学校で学ぶことなどたくさんありますが、生活するうえで大切なことは「衣食住」です。
衣類、食物、住居が揃ってはじめて生活ができるという用語です。
ファッションの考え方が広まった現代社会では豊富な衣類が店に並び、スーパーなどに行くと世界各地から運ばれてきた豊かな食べ物があります。
しかし毎日暮らしているはずの住居に関しては、当たり前すぎて関心を持っている人は少ないかもしれません。
ここからは、住居に関しての教育である「住育」について紹介します。
食育があり、木育があり、住育がある
食べ物の大切さを教育する「食育」や、木材の利用に関する「木育」など子どもたちに知ってほしいことは世の中にたくさんあります。
体の中に入ってわたしたちの栄養となる「食育」は、学ぶことで健康的な生活を過ごしやすくなります。
「木育」を学ぶと木材を適切に利用することで環境保護にもなり、食べ物の豊かさにもつながることを実感できるようになるでしょう。
そこからさらに学びの世界を広げたいときには、「住育」に興味を持ってみてはいかがでしょうか。
マンションの建設が活発になった高度成長期をきっかけにして、今では核家族化が当たり前のものになっています。
マンションのような人工物に囲まれていては、あまりご自身の住まいに関して知る機会は少ないかもしれません。
しかし「住宅」について知ることが、子どもたちにとって大切であるといえるのです。
住育とは
「住育」は、住まいについての教育のことです。
住まいを通じていろいろなことを学ぶことが、「住育」です。
住まいといっても、日本にはさまざまな形の家(住まい方)があります。
地方独自の風土や地域性の中で「住まい方」は、千差万別です。
又、日本の中においてもその地方の歴史的な成り立ちも大きな影響があります。
戦前、戦後においても大きな変化が表れています。
家の成り立ちが、そして家族の構成においても核家族化が進み、大勢の世代が住む家が単家族への構成へと変わってきています。
家の種類も一軒家から町では集合住宅へと変わってきています。
「住む」ことが、家族だけではなく地域社会の人たちとの交わることになります。
それらの中で「住むー生活」ことが、地方の文化や歴史をそして郷土を学ぶことになります。
よく海外へ行ったときに、自分たちの居場所がわからずに日々生活をしていることに気づかされます。
自分の国のことや町のこと人のこと、もちろん歴史や文化、そして風土の違いを認識することで自国の良さを再認識すると言われます。
それらを子どものうちから学びはじめることが「住育」だと思います。
家族と住育
「住育」で大切なことは、住まいの豊かさを考えることです。
ところで、住まいの豊かさとはなんでしょうか。
人それぞれ異なる答えがあるかもしれませんが、単純に住宅環境だけを考えるのではなく、家族みんなが過ごしやすい環境を整えることが住まいの豊かさにつながるのではないでしょうか。
未就学児の場合には、社会生活で過ごす機会は少ないでしょう。
子どもが小さいときには、集団生活のお手本となるのは家族です。
家族が過ごしやすい環境でのびのびと暮らしているとその生活が子どもにとって学びの場となります。
幼少期の生活によっては、その後の人格形成に影響を与えるかもしれません。
子どもや家族が健やかな生活を過ごせる住宅は、ただそこにあるだけでも「住育」として大きな役割を担っているのです。
生活に対する考え方や住まいが人をつくる
家族それぞれが同じ場所に暮らしていたとしても、生活に対する考え方には違いが出てきます。
近年では、核家族化の影響によって家族団らんの時間が減ったことももしかすると関係あるのかもしれません。
個性とも呼ばれる考え方の違いは、親しい人同士であっても、ときに大きなトラブルになることがあります。
それぞれが理想とする住まいの豊かさを求めるときにはしっかりと話し合い、相手の意見を聞くようにしましょう。
家族みんなの考え方が統一されていると、より生活しやすい環境が手に入りやすくなります。
考え方を変えることで、行動も変わります。
そうなると、家族みんなで過ごしやすい環境が少しずつ整っていくはずです。
もしも住まいの中に過ごしにくいと感じる部分があったときには、まず家族に尋ねてみましょう。
そうすることで社会生活の基礎となるコミュニケーションが生まれます。
生活に対する考え方が違っていても、人間は争うことなくコミュニケーションで問題を解決できるのです。
このように、何気なく過ごしている住まいの中でも、小さな社会生活が過ごせます。
よりよい住まいは、人として大切なものを教えてくれるのです。
最終更新日:2021年10月5日投稿日:2021年10月5日