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古いもの(材)を活かす家づくり

限られた資源を使うためには古いものをただ捨てるだけではなく、新しい形にして使い続けることが大切です。
日本においては、昔からさまざまな物を大切にするという文化があります。

しかし、現代では高度成長期における大量生産・大量廃棄の時代を経て、
最新の物がすぐに開発・販売されるようになり、いつの間にか物をすぐに捨ててしまうような暮らしになってしまっているのではないでしょうか。

ここからは古いものを活かす家づくりについて、さまざまな方法を紹介します。
住まいの解体や修復などを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

リサイクル素材が利用されている

現在では、さまざまな分野や産業においてリサイクル素材が利用・活用されています。
一般的に私たちの生活で身近なものは、ペットボトルなどの容器包装や家電製品などを対象としたリサイクル法です。
これは従来であればゴミとしてそのまま捨てられていたものを、可能な限りリサイクルして利用しようという施策です。
回収された各種廃棄物は、分別して集められた後にプラスチック繊維などに加工されます。

その後、衣類等に形を変えて商品化をされ、私たちの生活において繰り返し利用されているのです。

解体された住宅廃材はリサイクルされているのだろうか

他のリサイクル法と同様に、解体された住宅廃材もリサイクル法の対象とされているのです。
住宅を解体した後は、主に「コンクリート」、「アスファルト」、「木材」といった廃材に分別されます。

分別された住宅廃材はさまざまな形で再利用されています。
たとえば舗装材、バイオ燃料や建築用ボードなどの製品に生まれ変わっています。

近年ではSDGsという考え方があり、大量生産・大量廃棄の時代から転換しようという動きが世界中に広まっています。
このように古いものを大切に利用するという考え方は、建設業界においても重視すべきだといえます。

古い町家の材の再利用

日本は昔から孫世代にまで住めるような頑丈な家を建設してきました。
古民家や古い町家には、築年数が過ぎても劣化しないような丈夫な建材が使われているのです。
これらの住宅を解体するときにはたくさんのリサイクルできる材が得られます。

たとえば床材、欄間、建具などは新しく建築する住宅や商業施設などの店舗でそのままの形で利用されることもあります。
もともとの住宅と同じ地域で、新しく建設されるような住宅の場合にはその土地になじみやすい素材がよく使われているのです。
そのため、いくら古い材であっても新しい家に合う材もあります。
また、長い歴史を感じさせるような馴染みを持つ材は、室内の内装や部分的なインテリアなどにも利用できます。

このように、古民家や古い町家を解体するときには、リサイクル法とは異なる対応で廃材を再生できます。
これらの再生材を活用して作られた新しい家は、住む人に落ち着きを与え、また、地域の文化や歴史を伝えるような住宅になることでしょう。

解体木材の行方と再使用の可能性

解体された木材は、廃棄物として細かく砕かれてから製品としてリサイクルされます。
しかし、まずは廃材になる前に住宅用建材として再使用できないかを考えてみるべきでしょう。
とくに築数十年の住宅には貴重な木材が多数使用されていることも多く、解体は慎重におこなうべきだといえます。

どのような木材が新しい住宅に使えるのかという目利きは、経験が豊富で正確な知識を持つ専門家の力が必要です。
私たちのような建設業界は、経験が豊富な人材を活用して、解体された木材が廃材となることをできる限り防ぐための努力を続けています。
限られた資源を枯渇させないためには、リサイクルする前にまずは捨てるべき木材の量を減らすという心がけをするべきなのではないでしょうか。
ただ単純に解体・分解・製品としてリサイクルするだけでは、SDGsの考えには当てはまらないといえるでしょう。

古い住宅には、歴史のある木材がさまざまなところで使われています。
もしも、その木材に気がつくだけの経験や知識がなければ、再使用するのも難しくなってしまいます。
とくに新しい住宅の建設を考えているときには、古い住宅で使われた木材が活用できるかもしれません。

長く暮らす家だからこそ、深みのある馴染みのある古材を使い続けることが、歴史や文化を大切にしたリサイクルといえるのではないでしょうか。

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