木材の乾燥方法(人工乾燥、天然乾燥)
伐採した木材には大量の水分が含まれています。
木材は乾燥させないと基本的には使用することができません。
木材を乾燥するには主に「人工乾燥」と「天然乾燥」の2つの方法があります。
「天然乾燥」は昔ながらの乾燥方法であり、屋外で天日干し等自然の状態で乾燥させるものです。
機械により強制乾燥させる「人工乾燥」にはさまざまな方法があります。
その中で最も多いのが「蒸気式乾燥法」です。
乾燥庫と呼ばれている装置に木材を入れ、その中の温度を40℃~120℃の間で調整をして乾燥させます。
どんなに高温にしても湿度が高いのでは乾燥の邪魔になるため、湿度をきちんとコントロールしながら乾燥させていきます。
後、減圧式乾燥や燻煙乾燥という方法もあります。
人工乾燥の利点、欠点
人工乾燥の利点
- 短時間で乾燥させることができる
人工乾燥は短時間でしかも大量に木材を乾燥させることができます。 - 損傷を抑えることができる
天然乾燥の場合、外部要因により木材に損傷を与えることがありますが、人工乾燥であればそれを抑えることができます。 - 寸法の安定性が高い
人工乾燥は短時間で木材を乾燥させることができるため、木材の寸法に安定性があります。 - 含水率の調整ができる
人工的に乾燥させるため含水率の調整をすることができます。
人工乾燥の欠点
- 材木のくすみや内部割れ
高温で強制的に乾燥させるため、木材のくすみ(変色)や内部割れのリスクが高くなります。
天然乾燥の利点、欠点
天然乾燥の利点
- 木材の色艶が綺麗に保たれる
天然乾燥は自然に乾燥させるため、木材自身が持つ色艶を保ったまま乾燥させることができます。 - 誰でも木材を乾燥させることができる
木材乾燥の知識がなくても簡単に乾燥させることができます。 - 乾燥コストがかからない
人工乾燥の場合は木材を乾燥させるのにコストがかかりますが、天然乾燥の場合は乾燥コストがかかりません。
天然乾燥の欠点
- 乾燥に時間がかかる
天然乾燥で木材を乾燥させるにはかなりの時間が必要です。
乾燥がきちんと完了するまでにカビが発生したり、虫害にあうこともあります。
そのため、木材として製品にするまでの歩留まりが少し悪くなってしまうことがあります。 - 素材の欠点が出てしまう
天然乾燥の場合、素材自身が持つ欠点がそのまま出てしまう恐れがあります。 - 寸法の安定性が低い
湿度の微妙な調整ができないため、寸法の安定性が低くなります。
木材樹種と乾燥について
木材とはひとことで言ってもさまざまな種類があります。
杉、桧、松をはじめ本当に数多くの種類があります。
木材の樹種によって、乾燥の進み具合などが異なります。
乾燥しやすいもの、乾燥しにくいもの、割れが生じやすいものなど樹種によって性質はさまざまです。
製品とするには、これらの性質をきちんと把握しながら乾燥させなくてはなりません。
含水率、乾燥させる過程で割れやすいなどそれぞれの樹種の性質を把握した上で乾燥させるのはなかなか難しいものです。
乾燥が特に厄介だと言われているのが「ナラ材」と「ウォールナット材」です。
ナラ材は割れやすい樹種であり、ウォールナットは乾燥しにくい樹種です。
又、杉材も特に乾燥しにくい樹種です。
乾燥と住宅建設までの流れ(期間)
木材は乾燥したものでないと住宅建材として使用することができません。
木材乾燥には天然乾燥と人工乾燥の2つの方法があり、それぞれ乾燥期間に違いがあります。
天然乾燥は乾燥にかかる時間が長く、半年から1年ほどかかります。
構造材等の大きな材は2年~3年かかってしまうことも。
板材等の薄い材料は1~2週間で乾燥(人工)します。
構造材においても人工乾燥の期間は、中温乾燥で平均して2週間程度です。
乾燥を終了した木材はそれぞれの用途に合わせて再製材されます。
それから住宅に必要な土台、柱、梁、等を注文して大工さんの加工若しくは
プレカットの加工に廻され、現場での建て方へと進みます。