住まいと階段
京町家にある階段は、隠し階段になっているものが多く見られます。
例えば、押入れの襖を開けると階段になっているなどです。
また、階段が収納家具のようになっているものもあります。(箱階段)
引き戸や開き戸などの戸棚を階段に仕込むのですが、今では箱階段は古美術品と言っても良いほど値打ちが高いものになってきています。
大工が作り上げる箱階段は、日本の伝統の美しさがあります。
しかしこうした京町家の階段はとても急勾配な作りになっています。
今ではあまり急勾配の階段は見られなくなりましたが、京町家では当たり前の角度だったようです。
京町家だけでなく、昔の日本家屋の階段は急勾配のものが多かったように思いますが、これは現在の階段との大きな違いです。
住まいと階段の位置の変遷(階段の位置が変わってきている)
二階建て住宅が当たり前になった日本の住まい。
新築住宅を建てる際に考えるのことの一つが階段の位置です。
少し前までは、玄関を入ってホールに階段があった家が多かったと思います。
しかし最近では階段の位置が変わって来ています。
近頃よく見られるのが「リビング」に階段を置く家です。
家族全員がリビングを通らなければ2階に上がることができないように設計されています。
これらは、子供たちの教育上の問題もさることながら、視覚的な空間の構成をねらったものでもあります。
リビングに階段を設置すると動線を短くする事ができ、なおコンパクトな平面で室内を広く見渡すことができ開放感が生まれます。
あえてリビングを通って2階へとつなげる階段を持つ家は、親密な家族関係を作る上で最も適しているのかもしれません。
階段の種類(箱階段、ストリップ階段、)
階段にも種類がいくつかあります。
今回は木の階段である「ストリップ階段」と「箱階段」をご紹介していきます。
骨組みが丸見えになっている階段のことをストリップ階段と呼びます。
下がオープンになっているため、部屋が広く開放的に見える視認効果があるため、リビングに適する階段として選ばれています。
ストリップ階段は開放的で日の当たる場所に設置されることが多く、これを採用することで、コンパクトなプランでありながらも空間の幅が広がります。
一方、下部分が収納やトイレになっているのが箱階段です。
最もよく目にすることの多い一般的な階段で、実用的な階段として用いられています。
間取りにあわせた実用的な階段のため、ストリップ階段と比べるとデザイン性は劣りますが収納等を考えると実用性は高いです。
魅せる階段(リビングからの階段はインテリアのシンボルにもなる)
魅せる階段として現在最も主流となっているのがストリップ階段です。
階段の下がオープンになっているため、室内を見渡せる事で開放的で室内空間が広く感じられるという特徴があり、
下部に観葉植物や家具を置くことができますし、又階段そのものがインテリアにもなります。
木で作り上げるのも素敵なのですが、鉄で作るのもまた雰囲気が変わってオシャレです。
特に薄く、軽く見せて軽快なものも最近若い人に好まれているようです。
部屋の雰囲気に合ったものも良いのですが、反対に全く雰囲気の違うものを設置することで、対極の美しさは生まれます。
階段は実用的なものから魅せるインテリア的なものまでさまざまな仕様で作る事ができ、又2階の吹抜け等とあわせてプランすれば
豊かな空間をつくることができ、住まいの質も高まります。
現在の住まいの中のシンボリックなものとして階段を用いたいですね。